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ナイチンゲールの沈黙 [海堂尊]


ナイチンゲールの沈黙

ナイチンゲールの沈黙

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2006/10/06
  • メディア: 単行本


「チームバチスタの栄光」の続編となるのかな。
「チームバチスタの栄光」で登場した田口と白鳥の
コンビによる物語、なんですけど今回はこの二人の
存在感が前作に比べると少し薄いかなという気がします。
前作があまりにも印象が強いのでそう感じるだけなの
かもしれませんが、少し物足りないかなとも思います。
前作は舞台及び登場人物の殆どが田口が勤務する病院
内部の者達として舞台を絞って展開していたので、
読者の視点が集中しやすくて、そんな中での白鳥の存在
が圧倒的に強かったので楽しめたという印象があります。
今回は歌手や、そのマネージャーや刑事や患者の家族
なんかも登場し、いろんなキャラが出てきたのに、逆に
それによって物語の色が少しぼやけたような感じもします。
そして白鳥、田口のコンビによる活躍の部分も割りと少なくて、
代わりに白鳥と刑事による絡みが増えているんですけど、
この二人が同じようなキャラなので、登場人物が増えた割には
物語の色合いが薄いかなと。
物語は網膜芽腫を患う小児科の患者の父親が殺害され、その
犯人を刑事と白鳥のコンビが解決を図るという展開。
そこに到るまでが少し長いかな。前作の白鳥、田口のコンビが
面白くて、そこに期待をしてしまっている分だけ、お膳立てが
長い上に二人の絡みがそれほど多くないという部分で少し
期待が外れたという感じです。
又、この物語では歌手が登場することもありますが、「歌」が
ひとつのポイントになっています。
歌を聴く者に、歌い手の中にある映像を伝えるという描写がある
のですが、何か今ひとつという印象。
聴く者が歌によって自らの中にある感情を動かされたり、像を描く
という事があると思うのですが、歌い手の中にある映像を歌で
届けるというのは、経験が無いだけにピンとこないんです。
で、医学とロジカルモンスターで物語を築いてきた流れの中でで、
何となくファンタジックな色を感じてしまって、個人的には少し
冷めたかなと。
小説なので、こうした展開でもいいんですけど、前作からの流れで来た
場合には、こうでは無いほうが良かったのではと思いました。
今回は全体的に哀しみの色が前面に出ている感じです。
小児科ですので当然患者は子供ですし、患者が患っているのは目の癌
とも言われる網膜芽腫。治療は眼球摘出となるし、その上親からも
虐待を受けているし。
歌手も登場するけれども、これが酷い肝硬変で結局死んでしまうし、
看護士の親は殺人犯だったりするし。
子供や、悲しい過去を背負っている者の前では白鳥のロジカルモンスター
ぶりも毒気を抜かれてしまった感もあります。
それでもページを捲るスピードは前作と同様に落ちることはありません
でした。
面白さに欠けるという事ではなくて、前作と同様の展開を期待しすぎて
しまった読み手の受け取り方にもよるんだろうと思います。
どちらかと言うと、前作よりも後の作品である螺鈿迷宮に雰囲気は近い
でしょうかね。
「ナイチンゲールの沈黙」よりも先に「螺鈿迷宮」のほうが先に仕上がって
いたようですし、そうした経緯を考慮すると、この作品はこんな雰囲気の
物語になるんだろうなと思います。
次作にあたると思うのですが、「ジェネラルルージュの凱旋」もまた読んで
みたいと思います。
くどいようですが、白鳥のロジカルモンスターぶりの活躍を期待したいです。


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螺鈿迷宮 [海堂尊]


螺鈿迷宮

螺鈿迷宮

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/11/30
  • メディア: 単行本



チーム・バチスタの栄光のシリーズもので、これが4作目
かな?3作目だったかな。
チーム・バチスタの栄光の次作のナイチンゲールの沈黙
を読んでいないので流れが今ひとつ掴めない感じがする
んですけど、チーム・バチスタの栄光と比べると少し
大人しくなったというか、迫力が落ちたというか、雰囲気が
変わった感じがします。
白鳥がもちろん登場するのですが、田口が登場していなくて
彼との絶妙なコンビが見られないのが残念。
代わりに主人公の天馬は医学生ではあるんですけど、少し
物足りないかなという印象。
当初はジャーナリストという設定を考えていたようなんです
けど、医学生のほうが物語の都合上しっくりと落ち着くという
理由から変更したようなんですけど、キャラが大人しいです。
終末期医療を行う病院が物語の舞台になっていて、そこの院長
である巌夫が濃くて深いキャラであって、彼の懐に飛び込んで
病院の中を探るんだけど、巌夫と天馬のキャラでの力関係という
か深さがまったく違うから対峙も物足りないかな。
落第を続ける医学生で、日頃から不運に付きまとわれる設定
だけに、こうした押しの弱いキャラに設定したんだと思うんです
けど、個人的にはもう少し切れ味が欲しかったかなと。
白鳥が強烈なだけにあまり天馬が濃くなってしまっては
バランスが悪くなるだけかもしれませんけど、今回の白鳥は
華々しく登場したチーム・バチスタの栄光の時と比べると随分と
優等生になってしまった感じがします。だから天馬にはもう少し
押しが強かったほうが良かったかなと。
病院長とその一族におけるデス・コントロールと対決をするんで
すけど、今回の対決では最終的な詰めというか結末に曖昧感が
残って、こちらももう少し綺麗に幕を降ろして欲しかったかな。
結局巌夫とその一族は病院と共に死を迎えるんですけど、最後で
一人逃がしてしまって、事件の根本的な決着をつけられないという
か火種を残してしまったようで、ロジカルモンスターである白鳥
であればバッサリと事件を解決して欲しかったですね。
ただ、この作品は著者としてのテーマというか狙いは表面上のこと
よりも医療、医学に対する切なる願いが込められていたような気が
しますから、そういう意味では読む部分が多いというか、深いものが
あるのかな。巌夫は戦医をしていただけに治療のやり方も荒っぽか
ったりするんですけど、豊かな経験に裏打ちされた深みのある台詞
が多くて、この部分から医療に対する読者それぞれのスタンスに問い
かけがあるなと感じられます。
役所の描く医療の理想の弊害も語られています。医療を経済の中に
組み込み、その歯車のひとつとした場合、採算の合わない部分が真っ先
に切られていく。救命、産婦人科、小児科、終末期医療がまず切られて
いくという。
こうした事実を底流にして巌夫が語る医療の現実は物語の中だけの話
で終わらずに僕達個人にも少なからず影響がある事だけに、考えさせ
られます。
エンターテイメントとしては、チーム・バチスタの栄光のような華々し
さは少し影を潜めた感がありますけど、医療の抱える闇というか影を
受け止めるという面では含みのある作品に仕上がっているんではないか
なと思います。
螺鈿。光を当てる角度によってその輝きも変わってくる。
医療も立場の違いによって考え方やそのスタンスも変わってくるという
事でしょうかね。


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チーム・バチスタの栄光 [海堂尊]


チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫 599)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/11/10
  • メディア: 文庫



チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫 (600))

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫 (600))

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/11/10
  • メディア: 文庫



映画にもなったこの作品。
評判通り、役人白鳥の強烈なキャラが圧倒的な
存在感で読者の胸の中に飛び込んできますね。
主人公田口もキャラとしては味のあるキャラだと
思うのですが、その上を行く白鳥に食われてしま
いそうな勢いです。
心臓のバチスタ手術。成功率6割というハードルの
高い手術で32回連続で成功という華々しい記録を
残している桐生率いるチーム。
そのチームがある時を境に術死を続けて引き起こした。
手術の失敗が自分自身にあるのならば感覚的に判ると
断言する桐生は、この一連の術死に納得がいかずに
調査をあえて依頼する。
そこで調査のお役目として白羽の矢が当たったのが
不定愁訴外来を勤める田口。まったくの外科音痴である
田口がどこまで真相に迫れて、どんなタイミングで白鳥
が登場するのか、そしてどんな方法で犯人を突き止めて
いくのかが流れとしてのポイントでしょうか。
登場のタイミングとしては、とってつけたような不自然さ
は感じられず、登場するなり遠慮のない図々しさと、
徹底的な論理力で相手を圧倒して飲み込んでいく様は秀逸。
作中で白鳥をロジカルモンスターと呼んでいるところにも
その様子が現れている。
そんな白鳥が、衆人の目の中で殺人を企て、実行している
犯人をズバリ見つける辺りも流れとしてブレがなくてすっきり
としていて良い感触です。
ただ、もう少し紆余曲折というか二転三転する犯人説が持ち
上がった後の、解決という流れも良かったんではないかなと
いう思いも、後になってみると印象として残りました。
物語の中盤から登場する白鳥の圧倒的なキャラで物語の色を
染め上げられてしまった感もありますが、脇を固める登場人物
も決して無表情ではありません。いろんな顔を持つ人物が登場
して、キャラとしてはバラエティに富んでいるとも言えると
思います。院長と不定愁訴外来で看護士を勤める藤原さんあたりも
なかなか濃いキャラです。彼らのまだ若かりし日々がどんなんで
あったのかを見てみたいなと思えるほどに。ただそれを薄くして
しまうほどに白鳥の押しが強いんです。
舞台設定と登場人物、華々しい心臓外科手術とミステリーな流れ。
これらの要素がそれぞれを生かした形で、とてもドラマチックな
エンターテイメントになっている作品ですね。
そして、それらの中に作者の医療現場に対しての願いや展望も
刷り込まれています。
読み応えのある作品です。
映像としての、この作品はまだ観ていないんですけど、どんな仕上がり
になっているんだろう。
登場人物のキャラが濃いんで、どんなキャスティングで構成されている
のかがポイントかな。

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