So-net無料ブログ作成

食堂かたつむり [本]


食堂かたつむり

食堂かたつむり

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本



切なくもあり、ほっとする事が出来る物語。
そんな印象でしょうか。
物語は料理を軸として展開していきます。
主人公の倫子は東京で恋人に去られ、ひとり帰郷を
して、食堂を始めます。
そこで出された料理を食べた人は、願いが叶うという
噂が広まり次第に客も増えて行き、失恋の痛手も
少しずつ癒されていくのだが、そんな時母親はがんに
冒され、命の火をすこしずつ細めて行く。
祈りの込めて母のために料理をつくるのだが、母親は
帰らぬ人になってしまう。
それからは、食堂を開ける事もせずに悲しみの底を
這うような日々を送るのだが、偶然見つけた生前の母が
彼女に残した手紙を読んで再び生きる光を取り戻して行く。
この物語、何となく絵本のような、童話のような優しさ
と切なさが詰っているような印象です。
料理にたいする主人公の姿勢。食材に対する想いなんかを
読んでいると飽食の極みを尽くしている現代に生きる人々
には是非読んで欲しいなという想いにさせられます。
大地の恵み、自然の力の大きさの中で産まれる食材に対する
ありがたさが、食材を慈しむ主人公のピュアな姿から
読む人の心に染込んできます。
大きなテクノロジーの進歩で時代は大きく変わってきたけど
やっぱり自然の、大地の大きな恵みをなくして、私達の
明日は無いという現実の前で、この物語は忘れかけている
大切な事を改めて取り戻させてくれるような気がします。
日々の食事の前で、手を合わせて唱える一言、「いただきます」
の言葉の重さを感じさせられます。
物語の中で、主人公が語る言葉も印象的です。

私にとって、料理とは祈りそのものだ。
おかんと修一さんとの永遠なる愛への祈りであり、体を捧げて
くれたエルメスへの感謝の祈りであり、そして、料理を作ることの
幸せを恵んでくれた料理の神様への祈りであった。

そして母を亡くした後の悲しみの底を這う生活から抜け出し再び
食堂の厨房に立つ道を選択したときに語る

料理を捨ててはいけない。
心からそう思った。
だからまた、一から料理を作りはじめよう、と。
身近な人に、喜んでもらえる料理を作ろう。
食べた人が、やさしい気持ちになれる料理を作ろう。
たとえちっぽけな幸福でも、食べた後、幸せになれる料理を、これから
もずっと、作り続けていこう。

いろんな物が現代には溢れ、経済力があれば手に入らないものは無い
のではと思えるような時代ですけど、心温まる幸せや悦びというものは
こうして身近に、日常にそっとあるものなんだなと感じます。
私達がこれからの日々を送る中で、それを支えるものである食事や食材
に対して、感謝の気持ちを捨ててはいけないですね。
「いただきます」の言葉に感謝の想いを込めて。

nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 2

コメント 4

Sho

とても良い本のようですね。
静かで、淡々として、そして力強く励まされるように思いました。

>料理を捨ててはいけない。
心からそう思った
ここから続く文章。
野沢尚さんの「ふたたびの恋」の中で、脚本家が元恋人に語る場面。
「いいか。祈りだ」
そこからの文章を思い出しました。

このごろ仕事をしているとき、結局この「祈り」がなくては駄目なんだな、と思うようになりました。
自分が動くことで、あの人の何か役に立てば
私が知恵を絞った提案で、あの人が喜んでくれれば
うちに頼んでよかったと、関係の方々が喜んでくだされば―

そういう気持ちがあるか無いかで、まったく違ったものになるんだな、と思います。
こういう風に生きる人は、はたから見てしんどそうに見えるかもしれないけれど、でも本当に心から喜ぶこともできると思います。
静かに、淡々と、豊かに生きて生きたいと思います。

このご本、表紙も懐かしい感じで素敵ですね。
by Sho (2008-09-06 12:10) 

joker

Shoさん。

ありがとうございます。
そうせすね、静かな物語です。
特に前半は恋人と別れるくらいが大きな動きですけど、
それも割合さらっとしています。
物語の流れとしては、いたってシンプルって感じですし、
内容的には子供にも判り易い内容だと思います。
ほんの少し性を語る部分もあるので、その点を差し引けばという
事になりますけれども、それくらいピュアな物語かと思います。

「祈り」そうですね。
何事にも、どんな仕事も対する相手があって成立するもの
ですから、相手に喜んでもらえるよう祈りの心があって
いいものが出来上がると思いますね。
確かに、いつもいつもだとしんどいかもしれません。
でも、その仕事が好きで選んだのなら、それも背負うべきもの
なんだろうと思います。
静かに、淡々と、平凡に、心豊かに日々を過ごしたいものですね。

本の表紙も、絵本のような感じで少し癒されるような気がします。
柔らかいです。
by joker (2008-09-07 12:40) 

yuka

この本も未だ借りれずにいます。
小川糸さんって アノ 『春嵐』さんなんですよね?
それを知ってより一層読みたくなってる私です。 (☆^ω^)
by yuka (2008-09-13 12:21) 

joker

yukaさん。

そうなんですよ、アノ春嵐さんなんです。
実は、本を読み終わるまで知らなくて、巻末の
帯のところに作者の紹介があって、そこに
春嵐とあったので、ビックリした次第で。(汗
記事にこのことを書いておかなきゃと思いながら
しっかり書き落としていました。((;^_^A アセアセ・・・

個人的にはいい作品だなって感じたので、次作
にも期待しています。

by joker (2008-09-17 23:03) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

氷の世界チーム・バチスタの栄光 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

この広告は180日新規投稿のないブログに表示されます